研究概要 |
本研究ではわが国における所得再分配政策について定量分析を行うことを目的としている。研究成果としては昨年、「1990年代の世代間再分配政策の変遷-世代会計を用いた分析」(井堀利宏編『バブル/デフレ期の日本経済と経済政策5 財政政策と社会保障』、内閣府経済社会総合研究所、第8章、pp.253-pp275.)をまとめた。ただし、上記研究では2000年代の所得再分配政策について分析できていなかったので、本年度は2000年代についても分析を行った。分析結果から90年代は一貫して将来世代に負担を先送りする分配政策が取られていたことが、2000年代後半になると、将来世代の負担が軽くなる一方で、現在世代の負担は増える結果になった。この研究は"Intergenerational redistribution policies of the 1990s and 2000s in Japan:An analysis using generational accounting"として、人口学のNational Transfer Accountの国際学会で報告した。 その他の研究成果として、「労働市場のデータを用いたValue of a Statistical Lifeの推計」(『日本経済研究』、2010年、No.63、pp.1-28.)が"Estimating the Value of a Statistical Life Using Labor Market Data"としてTheJapanese Economy(Vol.38,No.4,pp.65-108)に英文で再掲された。
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