本年度は、これまでの年度で進めてきた研究成果を進めると同時に、対外的にその成果を発表した。まず、``Ex ante efficiency of structured bargaining procedures under coordination failure among creditors”という論文では、中小企業など投資家との間の情報の非対称性が大きい企業の事業再生においては、絶対的優先権の逸脱をある範囲で行うことが望ましいことをglobal gameを使って示すことができた。そしてこの成果は、2012年5月にウクライナで行われたInternational competition in banking: theory and practiceという学会で発表し、一定の評価を得ることができた。そしてその成果は、Corporate ownership and controlという雑誌に掲載された。 次に、上記論文では債権者は対称な状況を考えていたが、スタートアップ企業が直面するような大債権者と多数の小債権者が存在する状況を考えた``The impact of bank health on coordination among creditors”という論文では、大債権者の健全性が低下することで、債権者間のcoordinationがうまくいかなくなり、企業の選択するプロジェクトの質までも低下してしまうということを示した。この成果は、2012年12月に香港で行われたThe 7th biennial conference of the hong kong economic associationにおいて発表し、一定の評価を得ることができた。そしてこの論文は、2013年4月にTheoretical economic letters誌に掲載される予定である。
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