研究概要 |
平成21年度は,課題である公共投資の地域景気変動に関連する研究のほか,関連する研究として財政政策の経済効果についての研究と,固定資産税と公共サービスとの関連についての研究を完成させた。 まず公共投資の地域景気変動に関する研究では,前課題に引き続き,公共投資,特に地方公共投資の「制御可能性」の問題と,それに付随したVector Autoregression(以下,VARと省略)による分析を進めた。同研究は,「Public Policy Review」にまとめられている。 次に関連する研究のうち,財政政策の経済効果については,前課題より進めていた,特定の時期・政策の効果をダミー変数として抽出し,VAR分析を行う「Narrative approach」と呼ばれる手法を用いた研究を完成させた。同研究は,査読付の学術雑誌である「Japan and the World Economy」に掲載が決定している。 また,地方政府の公共投資・地方公共サービスと地方税との関連を探るために,固定資産税の応益性についての研究を行った。この研究では,地域別で効果を比較した場合には,都市圏ほど固定資産税は応益性を満たす傾向にあることが示された。なお,同研究は,査読付の学術雑誌「経済分析」に掲載が決定した。 このほか,前課題で採択が決定した「Public investment and business cycles: The case of Japan」が正式に公刊され,また(研究図書ではないものの)学部向けの財政学の教科書を公刊した。
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