本研究課題の目的は、株価に関する人々の期待(予測)をダイレクトに問うアンケート調査を用いて、経済学の根幹を成す期待が持つ特徴を明らかにすることにある。約8,000サンプルものパネルデータを収集し、期待が持つ特徴に関して分析を行った結果、人々は株価が上昇基調にある場合にはその上昇度合いを、下降基調にある場合にはその下降度合いを過少に予測する傾向があるという結果を得た。また、人々は常に分散を過少に見積もる傾向を持つことも明らかにした。これらの結果は、人々の期待が現状維持バイアス(現状からの乖離を好まない傾向)を有していることを示唆している。
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