研究実施計画にあるように、平成22年度では、主に23年度から行う予定の計量分析のためのデータベースの作成を行った。その他、分析手法であるPSM(Propensity Score Matching)法について習熟することができた。この手法は、この分野ではまだあまり利用されていないため、今後の計量分析で利用することにより、PSM法の応用例としても学術的意義を持つと考えられる。 データベースの作成については、概ね研究実施計画に沿って行った。具体的には、まず、レコフ社の『日本企業のM&Aデータブック』及び『M&A専門誌marr』を利用し、本研究の分析対象となるような地域金融機関の再編事例をチェックした。再編事例はいくつかあったが、データの購入予算等を考慮し、分析に十分利用できると判断されるものに限定した。次に、再編事例が確定したら、『東商信用録』を利用して、再編の行われた金融機関と取引関係にある企業を探し、その後、(株)東京商工リサーチのTSR財務情報ファイルを利用して、これらの取引先企業の財務データを収集した。また、各企業の格付や取引先銀行数、メインバンク関係といった取引先銀行に関する情報は、『東商信用録』から得た。特に、より再編の影響を強くみるため、再編の行われた金融機関のみを取引先としている企業を分析対象とした。このため、対象となるサンプル企業数は少なくなり、計量分析上はマイナスではあるが、この点は、先のPSM法をはじめとして、いくつかの異なる分析手法を利用することでカバーしていきたいと考えている。このような地道な作業を行い、簡単に計量ソフトに読み込めるように、データの整備を行った。 平成23年度は計量分析が中心となるが、必要に応じて、新たなデータを追加することも必要になるかと思われる。その際には、引き続きデータベースの作成も行っていく予定である。
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