研究初年度である平成21年度は、主に陶磁器業の視点から資料の蒐集に努めた。蒐集した資料から得られた知見によると、碍子には普通碍子(低圧碍子)と高圧碍子があるが、普通碍子に関しては明治のかなり早い時期から国産化が行われていた。これに対して、長距離送電に必要な高圧碍子の方は、高圧の電力にも耐え得るだけの耐久性が必要とされたために、なかなか国産化されないでいた。周知のごとくそこに登場したのが、芝浦電気と日本陶器によって共同開発された特別高圧碍子であった。しかし、国産の高圧碍子の普及という点では、まだまだ十分な信用を得るものではなかった。しかし価格の点から観るならば、国産の高圧碍子は外国製の碍子に対して、はるかに低廉な価格で製造・供給することが可能だったのである。 そのような状況下で転換点となる局面が、電力業の事例からアプローチ出来ることが発見された。詳細は平成22年度において研究遂行予定であるためここには記さないが、外国製の高圧碍子を使用した電力業の展開が、事業者が期待していたほどの成果を上げることが出来なかった点をここでは指摘しておきたい。
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