平成21年度は、「18世紀ヨーロッパにおけるリネン業盛衰の分析」研究の1年目ということもあり、先行研究分析と史料調査が研究活動の中心となった。 先行研究分析に関しては、様々な種類の織物がどのように使用されてきたかといった問題を扱う文化史、織物史研究は多いが、それを経済史研究の領域でどのように継承し、解釈できるのかといった問題に取り組んだ。先行研究論文収集に関しては、所属大学の図書館の協力もあり、非常にスムーズに進んだ。 史料調査に関しては、21年度末の春休みにイギリスで行った史料調査で収集した18世紀の新聞記事を現在整理中である。現時点で整理が終わっているものについて言えば、これまで関連研究において使用されてこなかったものを入手することができたといえる。しかし、滞在期間の制約から、調査は限定的なものにならざるを得なかった。また、所在の明らかな史料に関しては、大学の図書館を通じた取り寄せを行ったが、現在においてもまだ到着していないものがある。史料の入手が、所蔵する図書館において貴重書扱いであったり、また、相手側の対応が迅速であるかどうかに大きく依存しているために、当該研究において史料の収集に費やす時間は長くならざるを得ないだろう。よって、平成22年度も引き続き、この点が主な研究活動の一つとなる。 以上のような内容で、先行研究、史料調査・分析研究は進展したが、当該研究においてはまだ準備段階といえるため、包括的な成果として発表する段階にはまだ至っていない。
|