研究概要 |
本研究は, 1950年代における貿易・為替自由化の進展以後,ドイツの公的資本輸出が国際復興開発銀行(IBRD,以下,通称名の「世界銀行」(World Bank)と省略する)を通じてどのように実施されたのか,また,その資本輸出はどのような意義を持ったのか,ドイツの資本輸出国としての国際的貢献について検討した。 国際通貨基金(IMF)は,ドイツの貿易・為替自由化が1956年にほぼ完了したと判断した。これ以降,ドイツの公的資本輸出が促進されるようになった。この公的資本輸出は国際的資金の流れの中に組み込まれ,短期・中期の形で流動性を供給した。公的資本輸出の中で大きな比率を占めたのは,世界銀行へのローンと出資金マルクの解除である。これを機にドイツ企業は,機械・鉄道・港湾整備・エネルギー供給分野での輸出を中心に,世界銀行を通じた開発途上国援助に深く関わるようになったのである。
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