研究全体の目的は、希少性疾病関連分野の研究を発展させ、国内における希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の市場を活性化させることである。本研究では、その中でも当該分野における人財に焦点をあて、市場創出および発展に必要であろう様々な人財像を明らかにした上で、必要な知識提供手法の在り方を検討していく。 最終年度は、今までの研究から知見をもとに以下の社会実装・知識提供手法の確立をおこなった。まず、当該領域のすべての人財(ステイクホルダー)に向けたサービスの提供を目的としたNPOを設立した。当該領域には不足している要素が非常に多いため、資源・知識の効率的な集約・活用は非常に重要である。本組織には研究・開発・患者・投資・医療の領域の識者および関係者が集い、領域全体に有益となる情報・サービス提供をおこなっていく。本組織は中間組織としての役割を果たし、それぞれの人財領域とは連携・協調を図っていくスタイルをとる。また、個別疾患に対する希少疾病用医薬品開発支援として、ミトコンドリア病に関する情報データベースの作成をおこなった。本研究を進めていく中で、例えば研究者は研究の、開発従事者は臨床研究の知識は得ているものの、それらを総合的に得られる情報サイトは少ない。本データベースは、ミトコンドリア病の種類を網羅すると同時に、研究最新情報・臨床研究/試験情報を網羅することで、当該領域に興味をもつ様々な人財のコアとなる役割を目指す。それ以外にも、他研究者らと連携して、希少疾患領域における研究協力・連携ガイドラインの公開、患者主体レジストリの運営、難病法施行直前の意識調査、当該領域社会啓発イベントの開催、といった様々な具体的活動を開始した。活動から得られた知見は、海外複数学会にて口頭発表を実施し、海外人財との具体的な活動連携・協働も開始した。今後は知識集約を深化させるための研究・実装活動を展開していく。
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