研究概要 |
本研究は,生産システムとそれを運用するためのルール(行動規範)および,規範に従った作業者の行動を導くための業績評価指標の適合関係について考察することを目的としている。従来は生産システムの問題は工学的視点から,業績評価の問題は管理会計的視点から,それぞれに論じられてきたが,これらを複眼的にとらえることによって,両者の関係を整理しようとしている。 平成21年度は,組織学会研究発表大会(東北大学)において「セル生産とライン生産における業績評価スキームの相違」というタイトルで研究報告を行った。これは,セル生産とライン生産では求められる行動規範が異なり,そのために用いる業績評価法も異なることを主張した研究である。この研究では,業績評価法を分類するスキーム,および業績評価法の相違による人間行動の一般原理を示しており,本研究課題の骨格となる研究である。この研究は,現在,論文にまとめつつあり,平成22年度中に投稿する予定である。 また,日本原価計算研究学会(一橋大学)において「予算利用時の業績平準化行動と簿外売上のマネジメント」というタイトルで研究報告を行った。この研究は,部門が単一の場合の業績評価法と複数部門が存在する場合の業績評価法が異なるべきであること,そして,複数部門の業績評価においては,会計的な方法だけでは適切な評価を行うことができないことを主張した。この研究は,学会誌『原価計算研究』第34巻第2号に掲載される。 加えて,生産形態と業績評価法の問題に関連して,原価管理の手法としても紹介される標準原価計算について,セル生産では利用可能であるが,ライン生産では利用すべきでないことを主張した論文を執筆しつっある。これも平成22年度中に投稿する予定である。
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