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2010 年度 実績報告書

全社的リスクマネジメントの理論・実証に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 21730300
研究機関神戸大学

研究代表者

山崎 尚志  神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (30403223)

キーワード全社的リスクマネジメント(ERM) / 企業不動産(CRE) / リスクマネジメント / ファイナンス / 保険
研究概要

今年度は全社的リスクマネジメント(ERM)に関する実証データを集め,分析を行った。現在,ERMの議論の枠組みにおいて内部統制が盛んに言及されている。今年度は2010年度から開始されたJ-SOXによる内部統制報告制度を利用して,内部統制の不備,すなわち企業内リスクマネジメントに欠陥のある企業が市場でどのように評価されているのかについて分析を行った。本分析結果は,2011年4月の保険学セミナー(大阪)で報告し,コメントを基に論文を作成していく予定である。
今年度に出された研究成果は,論文掲載4本,学会報告1本であった。論文掲載のうち,2本は不動産リスクマネジメントに関する論文である。企業不動産(CRE)は企業にとって非常に重要な資産である一方で,全社的な見地からの不動産管理はまだ進んでいない。本研究は,神戸大学大学院経営学研究科の砂川伸幸教授とみずほ証券の協力により,新たな不動産リスクマネジメントの提言のために様々な角度からの分析を行っている。今回報告した内容を簡潔にまとめると,(1)ガバナンスがぜい弱な企業は多くの不動産を抱える傾向にあり効率的な不動産管理がなされていない可能性がある,また(2)企業の本社移転イベントに関して不動産の有効活用を理由に挙げている企業は市場から好意的に評価される傾向にある,というものである。不動産リスクマネジメントは来年度も継続して研究を行い,本研究のテーマであるERMの枠組みでまとめていく予定である。
また今年度は,「台風が及ぼすわが国損害保険会社の企業価値への影響」をテーマに,台風の上陸によって損保株にどのような影響がもたらされるのかについて分析を行った。その結果,台風の上陸が損保株にプラスの影響を及ぼすことが確認された。その理由としては,台風の上陸によって損保株の保険金支払いの増加が予測されるものの,将来の保険加入による収益の増大も予測されることから,その両者の兼ね合いとして平均的に損保の企業価値が上昇しているものと推測される。カタストロフィと保険会社の企業価値に関する研究はリスクマネジメントの研究においても重要なテーマであり,また2011年3月11日に発生した東日本大震災は日本に未曾有の大損害を引き起こしたことから,今年度は東日本大震災をテーマとした実証分析も行っていく予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 大型台風と損保の企業価値2010

    • 著者名/発表者名
      山崎尚志
    • 雑誌名

      国民経済雑誌

      巻: 第202巻第4号 ページ: 45-56

  • [雑誌論文] 企業不動産マネジメントとコーポレートガバナンス2010

    • 著者名/発表者名
      山崎尚志, 福島隆則
    • 雑誌名

      ARES

      巻: 45 ページ: 85-93

  • [雑誌論文] 企業の本社移転と株式市場2010

    • 著者名/発表者名
      山崎尚志, 松浦弘尚, 福島隆則
    • 雑誌名

      ARES

      巻: 47 ページ: 131-138

  • [雑誌論文] A Proposal to Construct a Behavioral Insurance Theory2010

    • 著者名/発表者名
      Takao, Atsushi, Takashi Yamasaki
    • 雑誌名

      IUP Journal of Risk & Insurance

      巻: 7(3) ページ: 50-58

    • 査読あり
  • [学会発表] 台風が及ぼすわが国損害保険会社の企業価値への影響2010

    • 著者名/発表者名
      山崎尚志
    • 学会等名
      日本保険学会関西部会
    • 発表場所
      富士山災海上保険株式会社(大阪府)
    • 年月日
      2010-09-25

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公開日: 2012-07-19  

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