本年度の研究実績を、以下の3つのカテゴリーに分けて報告する。 (1) データベイランスシステムに関する研究成果 データベイランスシステムやそのアーキテクチャコントロールに関する文献研究ならびに企業調査、インタビュー調査を行った。その研究成果を情報倫理分野の国際会議において報告し、関連分野の研究者との議論を通じてその内容をより精緻化することが可能となった。またその上で、国内学会においても、上記の問題について他の研究者との意見交換を行い、その成果は国内学会誌に掲載されている。また、特にモバイルマーケティングにおけるデータベイランスシステムの運用については、個人情報管理の観点から考察し、国際会議で研究報告を行った。 (2) 日本と英国の情報プライバシー意識の比較研究に関する研究成果 英国の共同研究者との協力のもとに、これまでの研究成果をとりまとめ、国内学会と国際会議の両方で、主に日本の情報プライバシー意識についての研究報告を行っている(すでにそれらの成果を学会誌に投稿するべく最終段階の準備が進められている)。また、それに加えて、海外ジャーナルに日本の情報プライバシー意識についてまとめた論文が掲載され、これは今後、日英の比較研究を行う上でも重要な理論的基盤となりうるものである。 (3) 関連する研究成果 上記の(1)および(2)に加えて、それらの研究成果を踏まえながら、関連領域の課題を検討し、成果をあげている。例えば、ウェブ空間での個人情報発信行動に対する社会・文化的考察や「安心・安全社会の構築」に向けたデータベイランスシステムに対する分析があげられ、それらは国内学会で報告されている。
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