研究概要 |
研究計画に基づき,(1)文献研究,及び,(2)調査研究を実施した。 (1)文献研究については,欧州の実践としての戦略や批判的マネジメント研究,及び,それらに関連する領域に関しての文献研究を実施した。 (2)調査研究については,文献研究と平行して,三重県内の病院組織における戦略転換を伴う組織変革に関して,綿密な調査を実施した。 同研究から明らかになった点は, (1)文献研究に関しては,欧州における実践としての戦略に関する諸研究は,批判的マネジメント研究におけるポスト構造主義や社会構成主義の視点からの経営戦略論研究への批判的研究の展開に依拠しながらも,いかにして批判的研究から明らかにされた問題に対して実践的な解決を見いだしていくのかという,解決志向のアプローチであることが明らかになった。これについては,6月に開催された組織学会にて報告を実施した。 (2)調査研究に関しては,組織変革における戦略と組織メンバーの行動との間のギャップは,組織メンバーに対して,ポジティヴな可能性を拓こうとする語りが重要であることが明らかになった。これは(1)の文献研究を通じた知見ともリンクする点である。この内容については,8月に開催されたAcademy of Management Annual Meetingにて,報告を実施した。 以上の2点に集約できる。 とりわけ重要な発見としては,社会構成主義と実践的転回,及び,解決志向アプローチの3者が密接にリンクしながら,本研究課題に対して重要な示唆を提示している点が明らかになったことである。
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