本研究の目的は、サプライチェーン・マネジメント(SCM)に代表されるような企業間取引における取引ルールの果たす役割について考察することであり、自動車産業と工作機械産業を対象とした国際比較を行う計画であった。また、具体的な研究方法として、統計・財務データを用いた分析と、企業へのインタビューに基づく調査の2つを予定していた。 平成21年度における研究実績は以下のとおりである。第1に、自動車産業における統計データ分析については、日本と米国の自動車産業全体のデータ入力を完了させた。データの分析・解釈については、平成22年度に行う予定である。第2に、自動車産業を対象としたインタビュー調査を計画通りに実施した。今回は、自動車不況後の激変した取引環境における実態データについても入手することができた。現在は、その内容をまとめた論文の査読中であるが、日米欧の各自動車メーカーでは、取引ルールの機能が異なることが確認された。第3に、工作機械産業における統計データ分析については、日本における産業レベルのデータの入力を完了させた。また、計画には記載しなかったが、電機産業におけるデータ分析を、大学紀要としてまとめた。同じ日本でも、産業によって、取引の結果を表す統計データにも違いが見られた。平成22年度には、工作機械産業を中心とした産業間比較を行う予定である。第4に、工作機械産業を対象としたインタビュー調査については、欧州では少し行うことができたが、変化の大きかった自動車産業の実態調査にかなり時間を費やしてしまい、予定通りに行うことができなかった。従って、平成22年度には、工作機械産業を中心としたインタビュー調査を行う予定である。
|