本研究では、研究代表者のこれまでの研究を発展・展開させ、技術集約型産業とりわけ航空機産業における発展のダイナミズムを実証的に明らかにすることを目的とし、日本、ブラジル、カナダの航空機産業の比較研究を行なった。具体的には、ほぼ同時期に航空機の開発に着手した日本(日本航空機製造、以下日航製)、ブラジル(エンブラエル)、カナダ(カナディア→ボンバルディア)の発展をそれぞれ3つのフェイズから考察し、同企業の内的発展、外的発展要因の分析を行った。 本年度の研究活動は昨年度の研究成果をふまえ、航空機産業に関わる政府機関、航空機産業を研究している海外の研究者、航空機メーカーや関連企業へのインタビュー調査と文献研究を通じて、理論モデルの構築を試みることにあった。そのため今年度はカナダの研究機関、ブラジル航空機製造メーカー、ブラジル部品メーカー、日本の航空機製造メーカーの関係者に対するヒアリングを実施した。同時に、シンポジウムや関連する資料を通じ、産業構造、業界動向、技術についてのより詳細な情報の収集を進めた。こうした調査の成果を総合し、航空機産業に特有の製品開発、成長モデルについて検討した。その成果の一部を論文にまとめ公表し、また研究会でも報告をした。 本研究は日本、ブラジル、カナダの航空機産業の発展を比較研究したものであるが、本研究で分析したものが他産業や他国に応用可能であるかさらに研究を進めていく予定である。
|