平成21年度においては、日経テレコン21テータベースを利用して、文中に「オフショア」が含まれる新聞記事を収集し、日本企業によるオフショア化について複数のミニケースにまとめた。なおその際に、同様の調査を行っている早稲田大学へ複数回出向き、他の資料やアドバイスを受けた。 また、当初は海外企業のオフショア化事例を調べるためにABI/INFORMデータベースを併用する予定であったが、新潟大学において当該データベースの解約がなされたため、急きょ他の方法に切り替えた。すなわち、オフショア化に関する文献において登場する企業を研究補助者に依頼してリストアップし、それらによるオフショア化の様子をインターネットを活用して調べるという方法である。その結果、およそ300社のオフショア化企業があるということがわかった。 ここまでの調査データを用いて、日本企業の場合のオフショア化の成否について、成功するパターンと不成功に終わるパターンを類型化し、その成果を研究会で報告した。 さらに年度末より、日経テレコン21から得られた国内企業の事例をより詳細に知るべく、アンケートの作成にとりかかった。このアンケートは平成22年度に入るとすぐに各企業へ送付できるよう準備されている段階にある。 当初予定していた作業手順からは多少変更が加えられたが、「公表されている既存情報を中心に分析を行った場合には、日本企業によるオフショア化の成功要件はいかなるものであるのか」という研究目的はある程度達成された。なお、今年度の研究作業によって、次年度に予定しているより具体的な日本企業のオフショア化に関する分析、および海外企業との事例比較を、スムーズな形で行うことができるようになった。
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