平成22年度までに、日本企業によるオフショア化の事例を二次データから広く収集する作業が完了した。また、先行研究のレビューを行い、オフショア化の概念自体の整理、および学術的な研究の整理がほぼ終了しつつある。平成22年度に行った先行研究のレビューを通して明らかとなったことは、オフショア化を説明付ける努力は、現段階では既存の理論を用いることにとどまっており、やはりオフショア化そのものから構築された理論が必要であろうというものであった。 平成22年度は、平成21年度末に課題としていたアンケート調査を二度にわたって行い、日本企業のオフショア化の全体像を浮き彫りにした。アンケートデータは、来年度(平成23年度)の研究においても利用予定である。また、日本企業のオフショア化戦略を成功的なタイプとそうでないものに分類するための重要なデータとしても用いる。 アンケートデータおよびその他の文献サーベイから得られた情報を利用して、平成22年度には論文、ブックレット(未刊行)、学会報告に着手した。論文においては、企業によるオフショア化実務を広範に調べ、論点整理を行った。ブックレットに関しては、オフショア化を題材としながら経営戦略について解説するものである。また、学会報告では、自身が行ったオフショア化研究について、現時点でわかっていることとそうでないことを明らかにする作業を行った。 平成22年度に収集したデータを意味ある形で分析するための分析フレームワークは平成22年度に構築済みで、来年度(平成23年度)に論文にまとめる予定である。また、本研究の最終目的である「日本企業のオフショア化戦略において成功要因の探索」についても、平成22年度のアンケート調査、および来年度に行われる調査を通して達成される予定である。
|