研究課題
本研究の目的は、日韓米の製造業における製品特性と組織のコア・コンピタンス、そして情報システムの導入・利用との関係を明らかにすることである。2011年度には、事業最終年度として、これまで行った調査結果を分析してその成果を発信する作業を行った。とりわけ、製品アーキテクチャ、コア・コンピタンス、情報技術の利用に関するモデルを検証するために、アンケート調査企業のうち、モデル別の対象企業を選定し、追加的なインタビュー調査を実施し、海外ジャーナルにその成果を報告し、研究成果を出版した。具体的な研究成果としては、第一に、自動車産業(インテグラル製品アーキテクチャに近い産業)に属する企業の多くは自社の製品開発プロセスに適合的な形でCADシステムを利用しており、それが成果を上げているのに対して、電子産業(モジュラー製品アーキテクチャに近い産業)の企業では必ずしもそうなってはいないこと、また同じ産業に属していても、CAD利用による成果の向上には差があり、組織固有の能力に適合した情報システムを構築・利用できているかどうかによって成果が変わってくることを確認した。第二に、従来の組織能力のコンセプトであるコンピタンスを、テクノロジーコンピタンス、カスタマーコンピタンス、リンケージコンピタンスの3つに分類し、製品アーキテクチャとの関係を示す枠組みを提示し、BRICsなどのような新興国市場に進出するための組織能力として、リンケージコンピタンス(Network Capability)の重要性を突き止めた。2011年度の成果は、著書および研究論文(IJTM,IJIMなどのSSCIジャーナル)、国際学会の報告論文として出版しており、研究論文4本、著書(共著)1冊、国際学会報告(3本)を行った。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)
早稲田大学高等研究所紀要
巻: 第4号 ページ: 17-30
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