研究概要 |
研究期間内に想定する着地点は,小売企業の業態開発におけるBM市場への参入行動について,規模効果と参入形態の関係を理論的に解明することである。本研究は,企業視点で業態を捉え,業態ライフサイクルの成長期以降に観察される小売企業行動,すなわちBM市場への参入行動を,業態開発の研究課題として定式化するものである。なお本研究は,当該年度において,以下に述べる研究を実施し,その成果を学術論文または学術書,学会報告を通じて公表した。 今年度は,前年度,演繹的推論に基づいて構築された理論的な分析枠組を起点に,各種の企業関連データを用いて,以下に述べる分析を行った。まず本研究は,日本のバブル経済崩壊後,1990年以降に急成長した小売企業に着目した。これらの小売企業は,専門量販店に多い。業態で言えば,家電量販店,衣料量販店,食品量販店,医薬品量販店などである。これらは,大規模な店舗に大量の商品を品揃えする業態である。また専門量販店は,特定の業種について深い品揃えをしつつも,他業種の商品を品揃えすることによって,個人だけではなく世帯,「目的買い」だけではなく「ついで買い」までも標的とする。このような特色を持つ衣料品・食料品・住関連商品における専門量販店を母集団として,出店店舗数,売上高,利益などに関する企業成長変数とフォーマット開発によるBM市場参入行動の関係について実証した。この実証結果をもとにして,フォーマット開発におけるBM市場への参入行動が,サプライチェーンに関する小売企業行動の変化として捉えられることを発見した。この発見について,先行研究を展望し,分析枠組を再構築した。その成果は,論文として公刊した。
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