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2010 年度 実績報告書

我が国の書籍再販制度の経済理論研究

研究課題

研究課題/領域番号 21730350
研究機関関西大学

研究代表者

岩本 明憲  関西大学, 商学部, 専任講師 (10527112)

キーワード英国書籍再販制度 / キャンベル卿の裁定 / アルフレッド・マクミラン / ブック戦争 / 返品制度 / 取次 / 制限的取引慣行 / 書店の機会主義的行動
研究概要

平成22年度における研究は,主に二つの方向性に基づいて展開された。第一に,我が国の書籍再販制度の制度的・理論的基礎を成す英国書籍再販制度の歴史的・理論的研究を通じて,英国書籍再販制度が,既存研究の支配的な見解とは異なり,出版・卸売・小売という各取引段階の垂直的かつ水平的な企業結合によって実現したことが明らかになった。また,書籍取引における返品制度が,(既存研究においてしばしば言及される)需要の不確実性に対処する手段としてではなく,再販制度下における書籍小売店の機会主義的行動を抑制するため,言い換えれば,書籍取引固有の再販制度の抜け穴を塞ぎ,その制度を延命させる手段として考案・採用されたことが明らかとなった。この二つの結論は,現在における我が国の書籍再販制度にそのまま適用することが可能であり,我が国の再販制度がカルテル的要素を多分に含み,かつ返品制度という商慣行によって,その制度の延命が図られていることが間接的に論証された。この発見は,もう一つの研究軸である,我が国の書籍取引における制限的取引慣行に関する研究において,補強・再確認された。我が国では,取次と呼ばれる書籍卸売業者が実質的なチャネルリーダーとして,返品制度という非効率な取引慣行を暗黙のルールとして出版社・書店の双方に受容させることによって,再販制度の維持を図っている実態が明らかにされた。具体的には,現行の返品制度は,出版社が自社の出版物の販売動向をリアルタイムで確認することを困難にする一方,書店の品揃えの自由を阻害することで,双方の独自の戦略的手段を奪っており,大手取次各社は書籍取引全体の約8割を押さえることによって,垂直的なバーゲニングパワーを保持・発揮している現状が明らかにされた。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 英国書籍再販制度の成立に関する歴史的位置考察2010

    • 著者名/発表者名
      岩本明憲
    • 雑誌名

      関西大学商学論集

      巻: 55 ページ: 13-30

  • [学会発表] Restrictive Practices in the Japanese Book Trade2011

    • 著者名/発表者名
      Akinori IWAMOTO
    • 学会等名
      マーク・E・パリー先生招聘ワークショップ『書籍流通の動向と電子化』
    • 発表場所
      関西大学第2学舎C棟共通会議室2
    • 年月日
      2011-03-09

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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