本研究は、ネットリテラシーの構成概念を構築し、実証研究を行うことを目的とした。ネットリテラシーとして、インターネット関連研究、とりわけ、インターネット利用と満足、メディアリテラシーの分野から、3つのリテラシー、操作スキル、コミュニケーションスキル、そして懐疑的な態度を導出した。操作スキルは既存のメディアリテラシーからの援用であるのに対して、コミュニケーションスキルと、懐疑的な態度は、他のメディア利用とは相違する、インターネットの利用に関して必要とされる構成概念ということができよう。未知な人々とコミュニケーションを継続し利用するスキル、未知であるが故に匿名の程度が高く情報の信頼性が低下する中で適切に疑うことができる懐疑的な態度は、他のメディアに比べて相対的に必要とされるリテラシーと言うことができる。こうした理論的に導出された概念を、具体的な文脈でその適切性を見極め、実証研究を行う上で適切な尺度に変換するために端末の相違に焦点に当てた前年度に引き続き、デプスインタビューを行った。ミクシイやツイッターなどのSNSから、商品比較サイト、企業ウェブサイトなどウェブサイトのジャンルの相違である。さらには、理論的に導出をした尺度の出典が欧米のものに関しては、尺度の内容が文化的に等価になるようバックトランスレーションという二重の翻訳を行った。その後、プレテストを行い、仮説や概念、そして尺度の妥当性を確認した後、東日本大震災のため今年度に繰越をし、本テストをおこなった。その結果、三つのリテラシーとウェブサイトに対する態度との関係が、フェイスブック、ツイッターなどのSNSのプラットフォームによって変化することがわかった。
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