研究概要 |
初年度は,マーケティング分野だけでなく価値工学の視点を取り入れた購買エージェントの設計を行った.さらに,Web上の仮想的な空間での体験を通じて,店舗における消費者の行動のデータを自動的に収集するシステムの構築を行った. 消費者行動における商品の選択は,環境との相互作用によって変遷し,それが選択に起因する消費者ごとの判断基準を多様化させている.消費者が判断基準に基づいて行動を選択するときの不確実性には,価値観の変遷履歴によるあいまいさと,対象を認識するときの不確実性も大きく影響していると考えられるため,本研究では消費者のあいまいさや不確実性を考慮した購買行動における商品の選択に関する意思決定モデルを提案した.これにより,消費者の価値観を可視化することが可能となった.また,仮想的な店舗でのデータ収集は,パソコンの知識が少ない人でも容易に操作できるよう,ほとんどの操作がマウス操作や簡単なキーボード操作で行えるよう工夫しており,より多くのデータを手軽に収集することが可能となった. 次年度は,感性工学の分野から店舗内レイアウトを分析し,初年度に構築したマルチエージェントシステムとの知識を併せて,店舗内レイアウトにおける支援システムを構築する予定である.消費者行動が提案システムに反映できているかどうか,また店舗内レイアウトを変更して得られる結果が一般的な知識に適合しているかどうかを調査する目的で,いくつかのスーパーマーケットと意見交換を行い,さらに改良する予定である.
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