本研究の目的は、フリークエンシー・プログラム(FP)の意思決定情報機能としての有効性を明らかにしその戦略的管理会計への適用可能性、および顧客関係性が企業価値に与える影響を示すことであり、本年度は(1)FPの一種であるポイント制の普及と効果の変化を分析し意思決定情報機能について明らかにすること、(2)可視化された顧客関係性が企業価値にどのような影響を与えるかを明らかにすることについて、調査・分析してきました。 まず、課題(1)については、日本の小売業788社に対してアンケート調査を行い、ポイント制の導入状況と活用の意図、実績について調査しました。有効回答数が267社、回答率が33.9%と、企業の高い関心が分かるとともに、ポイント制の採用企業が抱える問題なども明らかになりました。さらに、このアンケート調査に基づいて、インタビュー可能な企業への追跡調査を行っています。これらの成果については平成22年度に国内学会および海外学会へ発表するとともに各ジャーナルへの投稿を予定しております。 次に課題(2)については、顧客関係性を可視化するために、日本の製造業の会計情報および有価証券報告書情報に基づいて、重要な取引関係にある企業の財務データを使用して、主要顧客を持つことがサプライヤー企業にどのような影響を与えるかについて分析しました。これらの成果は、国内外学会で発表するとともに、国内ジャーナルへ掲載されます(2010年4月予定)。 以上より、平成21年度の研究計画については予定通りに遂行できました。
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