研究概要 |
本研究の目的は、フリークエンシー・プログラム(FP)の意思決定情報機能としての有効性を明らかにしその戦略的管理会計への適用可能性、および顧客関係性が企業価値に与える影響を示すことです。 本年度は(1)分類されたフリークエンシー・プログラムの情報獲得機能、顧客獲得機能、顧客維持機能の管理会計システムへの導入の可能性について実証分析とインタビュー調査,(2)企業間の顧客関係性構築がサプライヤー側の企業業績および企業価値にどのような影響を与えるかについて、昨年度に引き続き実証分析を行いました。 (1)に関しては,21年度に実施したアンケート調査,および21年度末から22年度にかけて実施したインタビュー調査に基づき詳しく調査しました。その結果,フリークエンシー・プログラムが必ずしも企業が予想している結果を生みださないこと,フリークエンシー・プログラムには効果の違いが明らかなものがあること,フリークエンシー・プログラムによって,取引継続性と購入金額に差を生むものと生まないものとが明らかになり,レベニュー・ドライバーとしての有効性が確認されました。 また,(2)については分析対象年度を拡張し,主要顧客との取引の継続性が与える影響についてより詳しく調査しました。また,取引関係だけでなく,株式の持ち合いをすることによって財務的成果に差をもたらすかどうかについても分析し,株式の持ち合いがサプライチェーンには有効であることが確認されました。とくに,取引関係にある顧客企業がサプライヤーの株式を保有するというのは日本独自の傾向であり,国内外の研究では初めて株式保有とサプライチェーンの関係を示したことは意義があったと考えています。 以上より、平成22年度の研究計画については予定通りに遂行できました。なお,上記の研究成果については,国内学会3,海外学会2(査読付,フルペーパー提出。)のほか,論文2本として発表しました。
|