研究概要 |
[当年度に実施した研究成果の具体的内容] 本研究は、会計利益の重要な特徴を構成する要素である自己創設のれんに着目し,会計利益に含まれる自己創設のれんが,会計利益の質にどのような影響を与えているのかについて考察することを目的としている。昨年度に実施した研究成果に基づき、当該年度に実施した研究では、自己創設のれんがどのように利益の質と関連付けられてきたかについて、歴史的な観点から明らかにし、昨今の会計基準における考え方との矛盾点を理論的に指摘した。また、より古い時代の判例法に関する研究も実施した。 [当年度に実施した研究成果の意義・重要性等] 自己創設のれんと利益の質との関連を検討する研究において、自己創設のれんの概念の成り立ちや会計における理論的な位置づけを明らかにすることは、両者の関係を明らかにするために必要な論点である。本年度に実施した研究により、自己創設のれんに関する会計の伝統的な考え方が明確になり、昨今の会計基準との矛盾についても指摘することができた。なお、その過程で、のれんに関する会計上の考え方が判例法から強い影響を受けていたことが明らかであるにもかかわらず、のれんに関する判例について網羅的な研究が存在していないことが判明した。そのため、計画の一部を変更し、のれんの会計上の考え方が確立する前の時点における判例法におけるのれんの考え方について、15世紀まで遡って判例をできるかぎり網羅する研究も行った。
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