本研究は、BSC(Balanced Scorecard)を中心に、日本企業における事業戦略のマネジメント実践を理論的/実証的に研究したものである。まずは、BSCの導入/運用プロセスに基づいたフレームワークのもと、雑多とも言えるBSCに関する先行研究の包括的なレビューを行い、研究の系譜を示すとともに、今後の研究課題を整理した。また、インターラクティブ・コントロール概念の操作化やテンション・マネジメントの概念モデルについても別途検討を行った。さらに、製品開発活動に着目した調査を通じて、インターラクションやインセンティブ・システムとの連動の重要性を確認した。これらの知見に基づき、東証一部二部上場企業(製造業、建設業、鉱業、水産・農林業)を対象とした質問票調査を実施し、BSC実践パターンの類型化とパフォーマンスとの関係の検証を試みた。その結果、BSC実践が5つのパターンに類型化できること、戦略マネジメント・システムとしてのBSCのパフォーマンスが有意に高いことを明らかにした。
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