研究概要 |
本課題の研究目的は、製造業とは異なる特徴を有するキャパシティ制約型のサービス産業における顧客価値(顧客もしくは顧客層によってもたらされる短期的・長期的な利益)の構築過程を明らかにし、その顧客価値の測定およびマネジメントのためのフレームワークを管理会計の視点から考察することである。本研究の特徴は、1.キャパシティが制約されているサービス産業に業種を絞ったこと、2.従来広く行われてきたコスト面の研究ではなくレベニューマネジメントなどの収益最大化手法の活用に焦点を当てた点にある。23年度においては、21年度、22年度に実施した質問票調査及び訪問調査、文献研究を引き続き行うとともに、海外学会を含む学会における報告、最終的な質問票調査を実施した。 8月にはアメリカ会計学会の年次大会に出席すると同時にワシントン大学(Foster Business School)を訪問し、同種のテーマの報告を複数聞くと同時に、議論を通じて現状の研究内容の問題点を把握することができた。また、9月にはEIASM主催のCONFERENCE ON PERFORMANCE MEASUREMENT AND MANAGEMENT CONTROLにおいて本研究内容について学会報告を行った。10月には、日本管理会計学会において学会報告を行った。これらの学会出張および学会報告を通じて、最終的な質問調査票の内容を改善することができた。 2012年3月には、研究実施計画に従って、各ホテルが直面している事業環境、レベニューマネジメントの方針、その効果についての最終的な質問票調査を実施した。典型的なキャパシティ制約型サービス業である1,088ホテルに質問票を送付し、253ホテルから回答を得た(回収率23.3%)。この最終的な質問票調査の結果は実績報告書の作成時点において分析中であるが、当初の研究目的、研究計画に従って順調に研究を進めることができた。
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