研究概要 |
L&BR,GJR,LNWR,GWR,LB&SCRが株主総会後に作成していた全Reportsを,テキストマイニングを活用して網羅的・客観的に検討した。結果,各年度の出現頻度の高いタームをキーワードとして観察すると当該期の会計実務の導入・廃止を推測でき,キーワードを時系列分析すると会社が直面した問題の変化を推測できた。具体的には,会計実務の導入と廃止を観察することがどの会計実務がどの会計実務へ引き継がれたのかを確認することになった。結果,先行研究の複会計システム生成に関する主張を裏付けることになった(研究紀要で発表)。また,会計実務の展開には,先行研究が主張する経営成績の変化に加えて,資金調達不確実性の影響があったことを確認した。具体的には,LNWRの前身,L&BRおよびGJRのうち,L&BRは資本勘定閉鎖要求を受け,資本的支出を制限するような会計実務を採用し。一方でGJRでは閉鎖要求が見られず,L&BRのような会計実務を確認できなかった(Global Accounting and Organizational Change Conference2010で発表決定7/21)。続くLNWRは,L&BR同様,閉鎖要求を受けて実務を展開させるものの,それはL&BR時代ほど資本的支出を制限するものではなかった。LB&SCRでも同様の影響を確認できた。さらに,先行研究が注目してこなかった経営戦略の変化を発見することが出来た。L&BRは当初,拡張戦略を採っていたが,しばらくすると費用削減戦略を採るようになった。そこでは固定費変動費分解を伴う原価管理が行われていたことを確認できた。より具体的な管理方法を,英国鉄道管理会計を専門とする村田直樹教授と共同で研究している(International Conference on Business Management2010で発表決定8/30)。
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