研究課題/領域番号 |
21730394
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
牧野 友紀 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助教 (50455862)
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キーワード | 家と村 / 競争と連携 / 農村構造 |
研究概要 |
今日の危機的な農業情勢の下で、日本の農家はどのような存続戦略をもち、生産・生活基盤を充実させているのか、さらに、そのような農家のあり方と「村」の編成がどのように連動し地域連携を実現させているのかという問題関心に即して、本年度は、愛知県弥富市と山形県東根市の農村地域における「家と村」の現代的展開、および地域連携の実際について焦点を絞り、実証研究を行った。具体的には、前年度の研究成果をふまえ、調査資料の収集と解析を精力的に行うとともに典型的な事例を選出し、さらなるインタビュー調査を実施した。その結果、対象事例では生産にかかわる「村落文化」を基に、村落外諸組織と積極的に連携を図り、それを「村」の存続維持に活用することで、リスク回避を行っていることが看取された。加えて、東日本大震災が発生した今年度は、放射線災害への影響や自然災害に対する農家および村落連携についての調査を行った。その結果、愛知県弥富市と山形県東根市双方ともに各農家が災害対応を可能とする協同関係を歴史的に構築していることが明らかになった。 今年度は、それらの研究成果の一部を、ロシア・ノボシビルスク国立大学において「日本の『家イエ』・『村ムラ』と東日本大震災を考える」という演題にて、翌年度の計画を前倒して招待講演を行い、現地研究者との研究交流を図った。それとともに、ノボシビルスク国立大学の学生に対して日本特有の農村社会学の研究伝統および調査研究の特質についてのレクチャーをおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、東日本大震災による被害を受け、調査の遂行および対象地への影響も懸念されたが、その問題状況への取り組みが逆に、新たな研究の成果を生み出し、成果報告を前倒しできたという点で、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、東日本大震災による被害を受けたことにより、当初計画していた調査票調査を実施することができず、放射線災害への影響調査および自然災害に対する農家・村落連携についての分析を新たに加える必要があった。今後は、震災以後の村落協同関係の変容と存続という視点を新たに加えた形で総合的な現地調査を実施し、データの集積および解析を行う。翌年度は最終年度にあたるため、これまでの研究成果を集約し、報告書をまとめるための作業を進めていく。
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