国際競争力が喫緊に求められる今日、現代の農民がいかなる社会的装置を通じて市場原理に対応しているのか。本研究では、現代の農家の存続戦略と地域連携のあり方を明らかにするべく、実証研究を行った。平成24年度は、補充調査および調査結果の解析を進め、これまでの研究を集約する作業を行ってきた。 具体的には、1. 集落営農に参加する農家に対して、稲作農家特有の連携のあり方、および今後の地域連携に関わるインタビュー調査を実施した。その結果、とりわけ農家女性の参画が重要であることが明らかになった。2. 対象集落が歴史的に深いかかわりのある他市町村の集落とも連携し、農業生産に関する「村落文化」の相互理解を図っていること、さらに、それを情報化することで、消費者との多面的な関係づくりに活用していることが、資料および調査結果の解析から明らかになった。3. 生活保障としての「家」の歴史的継続性を確認し、「家」を単位とした生活保障の論理が今日の集落のまとまりにとっても極めて重要であることが、調査結果の解析から明らかになった。 以上の研究成果をふまえ、次の2点が今後の研究展開にとって必要であると考えられる。すなわち、(1)「競争と連携」に関する現代農民のあり方を「家・村」理論の視点から論じる研究書を出版することである。(2)地域連携にかかわる様々な取り組みにおいて、農家女性がいかに参画しているのか、その実相を解明しジェンダー非対称性の問題に取り組むことである。
|