研究課題/領域番号 |
21730398
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
野上 元 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (50350187)
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キーワード | 戦争の記憶 / 戦争体験 / 戦争体験記 / 歴史意識 / 戦後 / 戦争社会学 |
研究概要 |
研究代表者の育児休業(平成22年10月1日~平成23年3月31日)が明け、中断していた研究が再開した。平成23年度の研究成果は以下のようなものになった。 まず福間良明と共に『戦争社会学ブックガイド』を編集し刊行した。40人以上の執筆者の協力をえることができ、社会学的な知見と戦争研究・戦争体験研究の交錯を浮かび上がらせることができた。これに関連し、戦争社会学研究会第三回研究大会においてシンポジウム「『戦争』研究の視角-社会学と歴史学の交差」やワークショップ「戦争社会学をいかに構想するか~『戦争社会学ブックガイド』をめぐって」 を企画し、司会・登壇をしたが、これらは本研究計画の遂行における重要な成果だと言えるだろう。 また、『日本歴史』に書評(成田龍一『「戦争経験」の戦後史』)、『社会学評論』に研究動向(「テーマ別研究動向(戦争・記憶・メディア)」)、藤村正之編『いのちとライフコースの社会学』に「戦争体験の社会史」を執筆したことは、本研究計画の遂行にとって重要な整理の機会となった。 このほか、北海道大学アイヌ・先住民研究センター主催の座談会「保苅実の歴史学をいかに受けつぐのか?」で登壇した。オーラルヒストリーと歴史の関係について、社会学の立場から言及し、これも本研究計画における方法の問題として重要なものとなった。 その他、ピースおおさかを訪問し非常勤職員の常本一氏に戦争関係の展示をめぐる状況や関係資料の収集や所蔵に関するインタビューを行ったほか、外務省外交資料館、防衛省市ヶ谷台、東京大学附属図書館(総合図書館、情報学環附属図書館)を訪問し、戦争や戦争の記憶に関する見学・資料調査を行った。 本年度はこれまでの研究成果を大きな文脈に繋げてゆく作業が多かった。こうした成果を踏まえ、本研究計画で収集してきた情報(実態調査)を整理してゆくことが来年度の課題として残されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査地の一つである長野県下水内郡栄村は、2011年3月12日に大地震に見舞われ、今なお避難所生活を余儀なくされている方が多くいる。地域のインフラだけでなく、コミュニティも破壊されてしまった面もある。此の地での調査は困難を極めているが、その他の研究計画はこれを補うという以上の成果を見せており、おおむね順調に進んでいると評価することができる。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画はおおむね順調に進んでおり、大きな変更をする必要はない。新しい小課題を設定する必要はなく、収集してきたデータを整理し、不足を補うことを優先することが必要だと思われる。
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