本研究の基本的な目的は、1993年に出版された宮台真司ら『サブカルチャー神話解体』以降、体系的に研究されてきたとはいいがたい若者のサブカルチャー、メディア・コミュニケーションのあり方を、主として計量的な手法を用いて、社会学的に分析・考察していくというものである。2007年度に辻大介・鈴木謙介らと行った調査研究、および21年度予備調査の結果を受けて、質問項目を再検討し、マンガ、読書、音楽などの項目ごとに、コミュニケーション様式の諸類型と文化消費の様態、社会的資源、社会意識、政治意識などとの関連を統計的に分析することを目的として設定している。 21年度予備調査の過程で、当初予定していた調査項目では、とりわけ20代前半以下の若者文化の「ジャンル」構成を正確に把握することが困難であることが判明した。若年層の当事者によるジャンル構成を正確に把握することは、本研究の目的であるサブカルチャーのジャンル構成の計量的把握のために不可欠であり、調査項目の再検討が必要であると判断し、繰越申請を行い、本調査質問項目設計について慎重な検討を行った。また、本調査の質的精度を検証するために、インタビュー調査などを行い、計量的な本調査分析を補完する研究を行った。 本研究の中核となる本調査(「若者文化とコミュニケーションについてのアンケート」練馬区在住:20-22歳の男女2000人を住民基本台帳から無作為抽出。22年12月実施)を22年度に行い、現在データクリーニング、分析を施している。23年度中に開催される日本社会学会にて成果の一部を公開するとともに、関連学術誌に論文を投稿する予定である。
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