研究課題/領域番号 |
21730404
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
三輪 哲 東北大学, 大学院・教育学研究科, 准教授 (20401268)
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キーワード | 社会移動 / 政策 / 二次分析 / 多水準分析 / コンピュータシミュレーション |
研究概要 |
本年度は、研究計画全体の中において第3年度である。データの収集と加工を継続していったのに加え、予備的な分析結果および他の関連プロジェクトでの成果を報告しながら、最終的な結論を導くための証拠の生成を試みた。その成果はいくつかの論文や書籍として公表された。 とりわけ、社会移動における「女性」の位置づけについて再検討を進めたのが、本年度の成果に表れている。かつて、社会階層・移動研究は、成人男性のみしか分析対象としない時代があった。その状況に対して1970年代にフェミニストの立場から強い疑義が呈され、それ以降、女性の階層・移動に関する研究は増加していった。ただし、男性の世帯主を分析することで事足りるとする説や、女性の階層的地位をとらえるのも、(既婚の場合)結局は夫の地位で代表させるほうがデータと適合的とする説もある。そこで、社会移動において女性がどのような位置にあるかを再検討すべきとの考えに至った。 まず、出身階層の測定において、従来なされていた父親の職業を用いることが妥当か、母親の職業も加味した結果と比較検討した。その結果、母職業も踏まえて出身階層をとらえたほうが、観察されたデータとは適合的であるとする知見が得られた。また、女性回答者の社会移動を、本人の職業とともに、夫の職業も加味して、統合的に分析をおこなった。こちらは到達階層において男女の組み合わせのデータを用いたというわけである。そして女性の就業移動だけでなく、結婚移動(女性の父階層と夫階層とのあいだでの階層移動)をも考慮しても、これまで得られていた知見と基本的に符合する結果が得られた。 それら以外に、本研究課題と隣接する領域にあたる階層意識研究分野において、計量研究とコンピュータシミュレーションを結び付けるアプローチを導入したほか、比較可能性を保証された大規模マイクロデータへとアクセスしてデータ整備がはかられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初に見込んでいた通りに、成果が順調に公表されつつあるため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、最終成果を報告書としてまとめるとともに、国内外の学会報告や学術論文投稿をおこない、広く周知を心掛けていく。
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