本研究は、グローバル化に伴い発生している都市間競争とその結果もたらされたインナーシティ問題に注目し、イギリス、アメリカ、オランダにおける市民主導の地域再生の実態調査から、コミュニティ・ガバナンスの国際比較研究を行い、官主導パートナーシップ型ガバナンス、自由主義型ガバナンス、市民主導パートナーシップ型ガバナンスに分類してその社会的基盤について考察した。その結果、市民セクター組織の内外のネットワークづくり、市民セクターと行政や民間企業とのパートナーシップを促す都市政策、市民活動団体の支援を行う中間支援組織の存在、アセット・マネジメントの存在などが、コミュニティ・ガバナンスの形成を促す重要な要因になっていることを明らかにした。これらの調査結果から、日本のコミュニティにおけるガバナンス形成可能性について考察した。
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