平成21年度の研究実績 本研究は、1.アメリカ社会学者E.ゴッフマン理論の総合的・基盤的研究を行うこと、及び2.同理論を分析枠組みとしつつ、現代社会における女性の身体統制に関わる比較文化研究を行うこと、にある。平成21年度は、主に以下の活動を通して研究の促進に努めた。4月から6月にかけては、日本(東京)を拠点に女性の身体統制に関わる調査研究を進め、同時に関西社会学会をはじめとした各学会に参加した。7月には、神戸大学において開催された、香港大学・神戸大学合同コロキウムにおいて、女性の身体統制に関する調査報告を行った。9月には、女性の身体統制に関する比較調査を行うために台湾(国立台湾大学)に渡航した。滞在中、イメージコンサルタントにたいしてインタビュー調査を実施した。10月には、日本社会学会をはじめとした各学会に参加した。11月にはリヨン高等師範大学人文科学校Y.ヴァンカン教授所有のゴッフマン・アーカイブスの調査に従事した。滞在中、同教授とのゴッフマン理論に関するディスカッションを進めると同時に、ゴッフマンが中期にゲーム理論を踏まえて展開した、戦略的行為論の理論的フレームワークを詳細に分析した。具体的には、ゴッフマンのハーバード大学国際問題研究所においての滞在記録、およびその際にゴッフマンによって進められたフィールドワークの記録や、ヴァンカン教授が1997年から98年にかけてペンシルバニア大学客員教授として滞在した際に収集したゴッフマン・アーカイブスの記録、および同僚へのインタビューの記録等である。(平成22年)1月には、女性の身体統制に関する比較調査を続行するために、再度台湾(国立台湾大学)に渡航した。滞在中、台湾における一般女性にアンケート調査を実施した。2月から3月にかけては、リヨン高等師範大学での研究成果をまとめること、及び女性の身体統制に関する一連の調査をまとめることに従事した。
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