本研究は、ハンセン病療養所から退所し「社会復帰」を行った退所者に生活史調査を行い、「社会復帰」の実態を探ることを目的とする。これまでのハンセン病研究においては、社会復帰者についての研究はほとんど行われてこなかった。こうした点をふまえると、本研究は社会学的なハンセン病研究に新たな知見を提供するものと言える。研究の結果、ハンセン病療養所から退所し「社会復帰」を果たしても、ほとんどの者は、退所生活において罹患経験を明らかにできていないことが明らかとなった。この点において本研究は、ハンセン病をめぐる社会的実践において今後必要なものを示唆することもできたと言えよう。
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