本研究の目的は、高齢者を取り巻く社会変化と社会保障・福祉政策が進展するなかで、韓国高齢者と家族関係がどのように変容しているのかを比較社会学的観点から考察することである。研究2年目の本年度は、高齢者の生活実態と家族関係を把握するための高齢者に対するインタビュー調査に重点をおきながら、関連資料を収集し分析するとともに、データの整理をおこなった。 具体的には、(1)韓国高齢者の地域特性を把握するために、一つの地域(慶尚北道)を選び都市(大邸市)と農村(軍威郡)の高齢者を対象にライフコースに焦点をあてたインタビュー調査を実施した。 (2)福祉会館・敬老堂・公園・自宅などの高齢者に対して、高齢期はどのような意味をもち、家族との関係をどのように構築しているのか、高齢者の生活・福祉ニーズに地域差がみられるのか、扶養や介護意識に変化がみられるのかなどを中心に調査をおこない、その内容は調査対象者の許可を得たうえで録音し、テープ起こしをおこなった。(3)高齢者関連施設を見学するとともに、福祉施設の職員や介護に従事している人への聞き取り調査をおこなった。(4)高齢者・家族・社会政策・福祉サービスに関するする文献やデータを収集し分析した。以上、その成果は研究会や論文を通じておこなっており、本研究はほぼ計画通り進んでいると言える。
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