研究概要 |
平成22年度中の主な業績は、(1)配偶者をみつける段階での問題、(2)結婚生活での問題を、主に日本で依然として支配的な「男性稼ぎ手モデル」に即した生活スタイルが影響している可能性を示唆した。研究計画に記した「デュアルキャリア」社会への移行を阻む要因についての実証研究となっている。具体的には、著作の『結婚の壁』(勁草書房)の2つの章(ひとつは共著)は、Makiko Iwatake (ed.) Gender, Mobility and Citizenship in Asia (Renvall Institute Publications)の一つの章は、(1)の配偶者選択段階での問題についてのものである。論文の『家族社会学研究』「家事分担に対する不公平感の国際比較分析」(共著)、研究報告の国際社会学会(スウェーデン)の配偶者選択に関する研究、アメリカ人口学会(ダラス)とヨーロッパ人口学会(ウィーン)で家事分担に関する研究報告は、(2)の結婚生活においてデュアルキャリアを阻害する要因についての分析である。データ収集と分析については、平成22年度においては大規模調査データを活かすかたちで行った。具体的には、家族社会学会が主催する『全国家族調査』およびそのフォローアップ調査の活動に参加し、同時に詳細な分析を開始した。データを分析し、論文を執筆するなかで、日本の様々な問題(特に少子化や女性の社会進出の遅れ)は、まさに「男性稼ぎ手」モデルが社会的に制度化されていることに起因するという見方を補強することができた。次年度はさらに詳細な分析を進め、成果の国際ジャーナルへの投稿を準備する。
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