研究概要 |
本研究は、中高年のソーシャル・インクルージョンに影響する地域システム要因と個人の生活構造要因を定量的調査および定性的調査から検討し、各自治体の重要な政策課題となっている地域福祉の推進に寄与することを目的とする。H22年度は、計画通り東大阪市を対象に中高年地域活動実態調査を実施した。東大阪市内の50地点を人口比に応じて無作為に抽出し、住民基本台帳に基づいて20歳~79歳男女個人を系統抽出法により1,450名抽出した。調査は郵送法によって行い、601名から有効な回答を得た(回収率41.4%)。調査票は、JGSS(日本版総合的社会調査)や社会生活基本調査、および、東大阪市および東大阪市社会福祉協議会が実施したボランティア活動に関する調査を参考に作成した。現在、個票データのデータクリーニングを終え、分析を行っている。日本全国を対象としたJGSSと東大阪市での地域貢献活動実態調査の結果から、東大阪市は全国平均よりもボランティア参加率が低く、ボランティア参加者の年齢構成が高齢層に偏っていることが明らかとなっている。詳しい分析結果の成果発表はH23年度に行う。地域貢献活動に関する定性的調査については、東大阪市社会福祉協議会ボランティア・市民活動センターの協力を得て、小学校区単位で実施されている小地域ネットワーク活動、コミュニティ・ソーシャルワーカーの活動、市内の30のボランティア団体が連携して行っているボランティア連絡会の活動など、H22年度に約50回のフィールドワークを行い、個人の生活構造レベルとは異なる中間集団レベルの課題に関わる問題点を把握した。 JGSSデータに基づく計量分析として、第83回日本社会学会において、「ボランティア活動経験の年齢層別規定要因-JGSS-2005に基づく分析-」を報告し、若年層、中年層、高齢層における地域貢献活動を規定する要因の違い、および、地域貢献活動が及ぼす地域生活満足度や信頼感への効果を検証した。
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