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2009 年度 実績報告書

放送制度と社会的コミュニケーションに関するマスメディアの規範理論の再構築

研究課題

研究課題/領域番号 21730436
研究機関関西学院大学

研究代表者

林 怡蓉  関西学院大学, 社会学部, 助教 (10460990)

キーワード日本 / 台湾 / 放送制度 / 社会的コミュニケーション / 討論系番組 / 原住民族電視台 / コールイン(call-in) / 規範理論
研究概要

21年度は日本と台湾の討論系番組及び台湾のマイノリティ・グループである先住民族の原住民のための原住民族電視台(原住民族テレビ局)を対象に,両社会の放送を媒介にした社会的コミュニヶ一ションにおいて,従来マスメディアの受け手であった視聴者・人々は,如何にテレビで主体となって現われるか,そのツールはどのようなものが用意され,どの程度活用され,社会にどう影響しているかにっいて実態調査を行い,とくに調査結果の分析に際してはハーバーマス,ヤング,ムフ,アーレントらの批判的社会理論及び政治思想を援用しつつ研究分析を試みた.そしてそもそも人々が主体としてマスメディアになぜ現われる必要があり,かつなぜそのことが重要かをも探究した.両社会の対比によって浮上したのは,日本では人々がテレビに主体となって自ら現われるツールが不十分にしか用意されていないことである,しかもその多くは間接的なものである.事実,ほとんどの討論系番組で視聴者が意見表明する場合は,番組ホームページの掲示板,Eメールやファックスで意見を寄せて,番組制作側がまとめ直して紹介するという方法が取り入られている.これに対して台湾の討論系番組のほとんどがコールイン(call-in)を導入し,視聴者は日常的に自らの声で語り,問いかけることができる.テレビで人々の意見を制作側が編集した結果の多様性の提示(日)か,「生」の未消化の多様な主観的意見の現出(台)かによって,媒介された社会的コミュニヶ一ションは人々の政治との距離感及び参与感に影響を及ぼしている.政治への関心が希薄で社会的話題を議論し共有し絶えず討議されていくことが難しいと言われる今日において,今回の調査研究結果はインターネット時代で岐路に立たされたテレビが担いうる積極的で新たな社会的役割を示唆し,今日だからこそのテレビの規範理論を再構築する糸口となり,放送政策の新たな展開に寄与すると思われる.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2010 2009

すべて 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] A New Viewpoint of Normative Media Theory : A Comparative Analysis of the TV Discussion Program in Japan and Taiwan2009

    • 著者名/発表者名
      林怡蓉
    • 学会等名
      The 9th Conference of the Asia Pacific Sociological Association
    • 発表場所
      Discovery Kartika Plaza Hotel, Kota Denpasar, Indonesia
    • 年月日
      2009-06-14
  • [図書] 『コミュニティメディアの未来--新しい声を伝える経路』「台湾の原住民族電視台--『主体の現われ』としてのコミュニティメディア」2010

    • 著者名/発表者名
      林怡蓉著
    • 総ページ数
      304(54-66)
    • 出版者
      晃洋書房

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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