申請者は、これまでの研究において里親制度拡充を「社会意識的要因」と「制度的要因」の2つの視点から考察した。その結果、里親数及び里親へ委託される児童数を増やすためには、(1)社会意識的要因として、イ)里親活動を継続する上での里親の動機の持続性に関する解明、ロ)社会的養護に関する理念的枠組みの構築、(2)制度的要因として、イ)里親制度の代表的形態である「養育里親」への児童の更なる委託の促進、ロ)施設制度に偏る日本の社会的養護体系の見直し、ハ)里親支援制度の構築が里親制度拡充に向け解明されるべき課題であることを立証した。同時に(3)近未来の日本の家族概念として、里親家族という血縁関係にない親子関係により構築される家族形態を指す概念として「養育家族(family of fosterage)」という新たな家族概念を提唱した。
|