平成23年度では、介護サービス情報公表制度システムで公開されているデータを集計、分析することにより、サービスの課題を析出する。本研究では居宅介護支援(ケアマネジメント)サービスをとりあげ、神奈川県の全県データを対象としている。 居宅介護支援事業所の運営状況に着目して課題を抽出すると、主なものとして次に示すような課題があがってきた。(1)サービスに関する情報について、従業者が共有するための仕組みがない(83.6%)、(2)事業所の組織体制、従業者の権限、業務分担及び協力体制を定めていない。(83.4%)、(3)事業所の改善課題について、現場の従業者と幹部従業者とが合同で検討する仕組みがない(83.1%)。こうしたことから、居宅介護支援事業所の運営に関する一番の課題としては、事業所において、サービスに関する情報を介護支援専門員間で共有化する仕組みが構築されていない事業所が多いということが挙げられる。居宅介護支援業務は、かなり属人的な仕事であり、事業所としてサービスの質を確保するための情報共有や役割分担などが、多くの事業所において実施されていない割合が高いことが判明した。また、事業所の改善課題について、介護支援専門員と管理者が話し合うなどの仕組みが十分ではないことや、利用者の意向や満足度をサービスの改善に反映する仕組みが十分でないことも課題として挙げられる。
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