研究概要 |
本研究は,アメリカの州および地方レベルにおいて,低所得層に対する就労支援がどのような形でおこなわれ,どのような成果をあげているのかを明らかにすることである。平成21年度の研究の進捗状況は以下の通りである。アメリカの労働市場政策や労働力仲介機関,福祉政策などの文献, General Accountability Officeの報告書などの資料を収集した。サーベイの結果,(1)労働力投資法によって設置されたワンストップ・センターは低所得層にとっては就労支援のアクセス拠点であること,(2)TANFや労働力投資法がコミュニティ・カレッジやNPOなどの労働力仲介機関の連携や就労支援のおこない方に影響を与えていること,(3)さまざまな機関による連携の方法は各州において異なることが明らかになった。この結果を受けて,ワンストップ・センターを中心とした低所得層への就労支援に関する地域レベルの連携はどのようになっているのかについて現地調査をおこなう方針を決定した。サーベイにおいてワンストップ・センターの機能を有しているコミュニティ・カレッジがあるとわかったオレゴン州を調査の対象とした。調査においては資料収集だけではなく,オレゴン州労働力投資委員会のスタッフ,ポートランド市等において労働力投資法関連のサービスの運営をおこなっているWorksystems, Inc.のスタッフ,ポートランド・コミュニティ・カレッジのスタッフ,オレゴシ大学のローラ・リート氏に対してインタビューおよび意見交換をおこなった。調査の結果,(1)密接に連携してサービスを提供していること,(2)職業紹介を優先するのか職業訓練を優先するのかというサービスの提供の仕方ではなく,利用者のニーズに合わせた支援をおこなっていることが明らかになった。2月に調査をおこなったため研究成果を公表できていないが,今後公表する予定である。また,来年度は他の州も調査対象に入れて,本研究の成果をとりまとめたい。
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