研究課題
介護福祉施設では、心身に重篤な介護を必要とする入居者が年々、増加している。このため人員配置が低い夜勤介護職員への負担は高まっている。しかし、介護保険制度実施後、夜勤介護職員の業務内容に関する資料はほとんどなく、その実態はよくわかっていない。そこで本研究では、介護職員の夜勤業務の実態を調査し、入所者に提供されている介護業務量と、介護職員の属性や精神的・身体的負担、勤務形態などの関係を明らかにすることから、夜勤における介護業務体制についての基礎的資料を提示することを目的とした。本年度は、昨年度実施した調査データをもとに、(1)夜勤の時間帯別の介護提供時間の分析、時間帯別の夜勤帯に提供された介護内容に関する分析を行った。その結果、夜勤の毎時の時間帯において、最も発生割合が高かったのは、「排泄」関連のケアであり、20.9%であった。次いで「巡視・観察」が15.2%と続いていた。次は、「起居・体位変換」のケアで10.9%と、このケアは時間帯にまらずに毎時に1割程度、頻回に提供されていたケアであった。また、夜勤帯のケアは、高齢者の状態像によって提供するケア時間の個別差が大きくなることを示していた。すなわち、施設内ケア提供システムでは、定期的なケアのみが提供される入所者と、これに加えて、個別的なケアが提供される利用者に二極化している状況が明らかにされた。これらの分析から、夜勤帯における介護業務量および介護業務内容の標準的な内容について具体的に示し、これらの結果を反映した夜勤業務改善のためのチェックリストの内容の検討を行った。今後は、さらに夜間に提供されたケア内容からみた負担などケア提供側の状況と当該高齢者の基本属性や特性との関連をより詳細に分析することが課題である。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
介護経営
巻: vol.6, no.1 ページ: 90-100
経営と情報
巻: vol.23, no.2 ページ: 65-78