本研究では、これまでの福祉用具に関する研究の中でも、近年取り扱われるようになった福祉用具の利用後の実態に関する研究を概観し、福祉用具に関する研究の今後の方向性を考察することを目的とした。得られた結果は以下の3点に集約された。第一は、福祉用具の利用後の実態について明らかにされつつあることである。第二は、福祉用具に対する満足度に関する研究がすすめられつつあることである。これまで尺度開発を中心に信頼性・妥当性が検討されてきたが、実際に開発された尺度を用いて満足度を測るといった実証研究へと発展しつつあった。第三は、福祉用具を利用する過程での支援方法について検討されていたことである。 福祉用具の利用に対する満足度は高い方がより望ましい。しかしながら、福祉用具に対する満足度を測定することがこうした研究の本来的な目的ではない。つまり、福祉用具の利用を含めたQOLの向上こそが最終目的となるべきであろう。であるならば、これらの研究はやがて統合され、利用者の生活を支援する福祉用具に対する利用者の視点からの評価が求められている。
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