今年度はまず、高齢者介護にたずさわる男性家族介護者のストレス状況やその社会的過程に関わる情報を豊富に含むミクロデータについて、SPSS、STATA等の統計分析用ソフトウェアを用いてクリーニングを行い、分析用のサブデータを構築した。そして、昨年度検討した理論枠組みをてがかりとしながら、高齢者介護における男性介護者のストレス及びその関連要因の特徴、介護保険等によるフォーマルサポートやインフォーマルサポートの利用状況およびその効果が、女性介護者のそれとどのように異なるのか、といったことに関する探索的な分析を行った。今後はまずこれらの成果を論文にまとめ、学会等で発表していきたいと考えている。 そして、今年度後半にかけては、主要な書籍のデータベースをキーワード検索することを通じて、近年刊行された高齢者介護に携わる家族介護者の手記・エッセイ等について包括的な文献リストを作成し、出版動向を探るとともに(たとえば、出版件数全体の増減や、これらの手記・エッセイ等の著者に男性介護者の占める割合やその増減など)、こうした文献を網羅的に収集した。さらに、内容分析、インタビュー等の質的方法に関する専門書等の文献・情報収集や、専門家からの助言等を通じて、次年度以降に向けた方法論的準備も行った。 また、これらと並行して、大学附属図書館を通じた情報検索や国内外の学会・研究会への参加等を通じて、高齢者介護やストレスに関連する基礎的文献の収集・国内外の最新の研究動向の把握も継続して行った。
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