本研究は、日本の市町村レベルの障害福祉政策において、社会資源開発を担う支援者(行政職員・民間事業者)にどのようなエンパワメント支援が求められているのか、について検討を行う事を目的としていた。 研究最終年度の平成22年度には、海外調査や国内での文献研究等の成果も踏まえ、国内査読付論文への掲載1本、海外学会発表1本、国内雑誌論文1本、国内学会発表1回というアウトプット(成果)を出すことができた。 特に査読付論文「ボランタリーアクションの未来:障害者福祉政策における社会起業家の視点から」(『ボランティア学研究Vol.10』)においては、社会起業家概念という補助線を引くことにより、2年間の研究成果が明確化された。社会資源開発という新たな何かを生み出す(=「創発」)現場においては、生成的複雑性が大きく左右しており、それを乗り越える為には「特定の人格のエンパワメント」が大きく求められていること、また「出現する未来」を理念化やプロトタイプ化していく中で、新たな制度政策のモデル事業化が可能であること、等を、ノーマライゼーションの原理をスウェーデンにおいて具現化したベンクト・ニィリエの実践を整理する中から導き出すことができた。 上記の整理を通じて、我が国でこれからの障害者の地域自立生活支援において求められる社会資源開発の諸課題に、支援者がどのように取り組むべきか、そのための支援者のエンパワメント課題とは何か、について整理をすることができた。
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