平成23年度は、平成22年度に実施したアンケート調査の結果の分析をさらに深め、民間営利組織が運営する認可保育所の実態を明らかにした。その結果を調査報告書としてまとめ、アンケート調査に協力していただいた保育所へ送付することで、研究の成果のフィードバックを行った。 民間営利組織が運営する認可保育所の実態について以下の点が明らかになった。 (1)民間営利組織がコスト・利益を考慮してスケールメリットを活かした経営をしているかどうか検証した。定員については、学校法人、NPO法人より小規模の施設は少ないが、認可保育所全体と比較すると大規模の施設が多いとは言えない。他事業の運営をみると、民間営利組織の7割以上が他の事業を運営している。 (2)多様な供給主体の参入によって保育ニーズに柔軟に対応していくことが期待されている。とりわけ、長時間保育(延長保育)に対するニーズが高いことから、民間営利組織が長時間保育のニーズに応えているかどうかを検証した。保育時間をみると、学校法人、NPO法人と比較して長時間の施設が多く、また認可保育所全体からみても長時間の施設が多い。このことから民間営利組織は他の供給主体よりも長時間保育のニーズに対応していることがうかがえる。 (3)民間営利組織は直接利益を上げることができない地域への社会貢献活動を行わないのではないかという懸念がある。しかし、民間営利組織はボランティアや保育実習等の受け入れについては他の供給主体と同様に積極的に行っていることが明らかになった。ただし、園庭開放については他の供給主体よりも実施している割合が低く課題がある。
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