地域自立支援協議会への障害者の参加について、2種類の調査を実施した。第1の調査は、全国の市町村担当者を対象とした質問紙調査であり、自立協議会への障害者の参加状況や各専門委員の選定方法の明確化等を目的とした。現在分析中であるが、主な結果として、全体の71.4%の自立支援協議会に障害者の参加があるものの、障害種別でみると身体障害者の参加は全体の71.4%、知的障害者15.8%、精神障害者4.0%と開きがあることが明らかになった。身体障害者を中心に障害者団体の代表を委員に選出して「参加」とみなす場合が多いと考えられ、選出プロセスの不透明さや代表性に課題が残る。 第2の調査は2つの地域における事例調査であり、自立支援協議会の運営者と障害当事者双方の立場から、障害者の参加の促進および阻害要因を明らかにすることを目的とした。当事者の立場からは、(1) 促進要因として、時間をかけ信頼関係を築きながら話し合いを進めること、参加の拡大に向け活動を知ってもらうこと、呼びかけること(例:保護者への働きかけ、小中学校とのつながり)等の重要性、(2) 参加拡大のデメリットとして、人が増えることによる不安、やりづらさが指摘された。運営側からは、(1) 参加の方法として、ケア会議でのニーズの汲み取り、障害者代表としての協議会への参加、協議結果を実行する際の「プレイヤー」としての参加等があること、(2) 課題として、協議会への参加や議論の機会が少なく不慣れなため議論がずれるという悪循環、人選の基準と代表性の課題、ニーズ発掘、資源開発プロセスにおける支援者の専門性等が指摘された。 今後、障害者の参加を積極的に進める協議会で事例調査を実施することにより、課題への対応と支援方法の言語化、定式化が期待できる。
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