研究概要 |
本研究の目的は児童養護施設,及び乳児院における心理職の活用を進めるために,心理職の活用に関するガイドラインを策定するものである。施設からの評価や他施設心理職からの評価など,複数の基準によってMaster Therapistと評価された児童養護施設,及び乳児院心理職の活動をGrounded Theory Approachによって分析することによって,彼らの活動内容や活動展開のプロセスを明らかにした。また,同様に複数の基準によって心理職の有効活用が進んでいる施設を心理職活用のExpert施設とし,心理職の導入から活用についての特徴について分析した。これらの結果から,児童養護施設及び乳児院における「心理職活用のガイドライン」あるいは「心理職が施設で機能するためのガイドライン」を作成した。例えば,児童養護施設のMaster Therapist(11施設)を対象とした調査では17のカテゴリーと49の概念が得られ,さらにそこからおよそ30項目の児童養護施設Master Therapistの特徴が抽出された。さらに,それらを基にして現職の児童養護施設心理職と共に検討し,心理職が児童養護施設で機能するための「ガイドライン」を作成した。この「ガイドライン」には「児童養護施設心理職としての自分を支える環境を整える」「施設を見立てること,心理職としての自分を見立てること」「児童養護施設心理職としての基本的な姿勢」など6つの領域,22項目が含まれている。同様に児童養護施設のExpert施設(8施設)を対象とした調査では9つのカテゴリーと31の概念が得られ,さらにそこからおよそ15項目の心理職の活用に関するExpert児童養護施設の特徴が抽出され,それらを基に児童養護施設が心理職を活用するための「ガイドライン」を作成した。さらに,乳児院のMaster Therapist(6施設)を対象とした調査では13のカテゴリーと45の概念,乳児院のExpert施設(6施設)を対象とした調査では8つのカテゴリーと24の概念が得られ,同様に現職の乳児院心理職と共に検討し,「ガイドライン」を作成した。
|